動物、妖怪、死者の魂まで、「異界のものたち」の気配が色濃く残る土地、遠野。それらの物語はなぜ生まれたのか、いま異界を想像することにどんな意味があるのか。この夏、遠野に広がる異界の景色をめぐるツアー型イベントを開催します。遠野の民俗文化をめぐるスタディツアー、山と人をつなぐ神事である遠野の郷土芸能「しし踊り」と音楽家たちによるライブセッション、遠野の死生観にまつわるドキュメンタリー映像上映、そして滋味にあふれる発酵と食など、新旧のカルチャーを織り交ぜた体験をお届けする3日間。全国各地から“マレビト(異なる文化圏の人々)”として集結した参加者とともに、遠野に新たな民話を紡いでいきます。
柳田国男の『遠野物語』で知られる岩手県遠野市。河童や座敷童子といった妖怪伝承が記録されたこの地域には、いまもその気配が色濃く残っています。妖怪、山の神、田の神、そして死者の魂など、数々の「異界のものたち」にまつわるエピソードは、単なる昔話や伝説にその記憶を押し込めず、厳しい自然環境のなかで人々が感じ取ったリアリティをそのまま映し出しています。そんな遠野にいまも残る風習のひとつに「ムカイトロゲ(迎え灯籠木)」があります。先祖の魂が家に戻ってくるための目印として立てられる旗と灯籠のことで、『遠野物語』の序文にも「旗を高く掲げて魂を招く風あり」と書かれています。
今夏始動する「遠野 巡灯籠木(トオノ メグリトロゲ)」は、そうした目に見えぬ魂への想像をめぐらせるツアー型イベントです。数百年の歴史を持つ伝統芸能と現代カルチャーを織り交ぜ、音楽、芸能、食、語り部たちの声を媒介として、全国各地からマレビトを集め、それぞれが異界の風景を探索し、新たな物語や交流を生み出すことを目指します。
柳田国男は、「伝説は(略)文化の水準を異にした二つの部曲の、新たなる接触面に沿うて現れやすい」と書いています。ある土地にマレビトがやってくる、その境界面にこそ、新たな物語が立ち上がるのです。
太鼓の音が響き、体は自然に踊りだす。同じ土を踏みしめ、酒と食を味わい、見えざるものたちの声を聞く。ことばよりも雄弁な「踊るからだ」は、老若男女、普段は異なる生活圏を生きる人々をも交わらせ、分断した境界を融解させることでしょう。人も、動物も、森も、すべてのいのちが等しくなる時空間へ―――遠野の次なる伝説が、いま産声を上げます。
本企画プロデューサー・塚田有那(Whole Universe)
開催日時
2021年11月19日(金)〜11月21日(日)
開催会場:
遠野郷各所
あえりあ遠野 〒028-0524 岩手県遠野市新町1-10
お申し込み期間:6月21日(月)〜7月10日(土)
遠野巡灯籠木 お申し込みフォーム
*本年は感染症対策のため、人数を限定しての開催となります。応募者多数の場合は抽選となりますので予めご了承ください。*抽選結果は応募締切から5日以内にご登録頂いたメールアドレスにお送りします。
ライブセッションお申し込み
*当日は15:30-15:50の間に、ふるさと村のビジターセンターまでお越しください。スタッフが会場までご案内いたします。集合時間に遅れての参加はできませんので、お時間に余裕を持ってご来場ください。
*以下の「感染症対策について」を事前にお読みいただき、同意の上、お申込みをお願いいたします。
*ご記入いただいた個人情報は、、万が一感染者が発生した場合の感染経路追跡のため専門機関へ提供及び、遠野巡灯籠木実行委員会(運営:一般社団法人Whole Univers)からのご連絡・ご案内以外の目的には使用いたしません。
プロデューサー:塚田有那・坂本麻人(一般社団法人Whole Universe)遠野ディレクター:富川岳(株式会社 富川屋 / to know)制 作:羽田寛士(TAPES PRODUCTION)、清水聡美コーディネート:阿部和美、多田陽香、大谷史也音 響:稲荷森健、市村隼人
ディナープロデュース:おのひづめ
後 援:遠野市
助 成:⽂化庁「ARTS for the future!」補助対象事業
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民俗・芸能・食・音楽ー異界をめぐる3日間